2018年の夏は娘と2人で八重山の離島に旅をしていました。
娘は基本的に毎日現地の友達と遊び(一緒に宿題をしたり、ラジオ体操に行ったり、地域行事に参加したり)、そして僕は自転車で出掛けたり、友達を訪ねたり、宿で仕事をしたり。
そしてその機会に、買ったまま読めていなかった本の翻訳をしていました。
『Paddling North』オードリー・サザーランド
著者は、カリフォルニアで育ちハワイに移住、女手ひとつで4人の子供の子育てををしながら、1人小さなカヌーで数えきれない冒険をした女性、オードリー・サザーランド。
この『Paddling North』という本は、彼女が60歳のとき空気で膨らませるカヤックでアラスカ沿岸を単独冒険したエッセイです。
彼女の哲学「Go simple, go solo, go now」(シンプルに、ソロで、いま行動する)を垣間見ることができ、また独自の知識や知恵、調理レシピなどを学ぶことができます。
このような冒険者の知恵は、必ずしも同じような冒険を試みる人のためのものではなく、すべてが現代社会での生活をより洗練されたものにするためのヒントが沢山隠されていると思います。
Patagonia Books:『Paddling North』オードリー・サザーランド著
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さて、今回は本そのものではなく、この本を制作している時に彼女がパタゴニア・ブックス編集者のジョン・ダットン氏に見せてくれたという、子育てに関する彼女の考えを共有したいと思います。
それはもう何十年も前に、彼女が自分の子供たちのために作った「What Every Kid Should Be Able to Do by Age Sixteen」(すべての子供が16歳までにできるべきこと)という長いリストです。
※ 読みやすくなるよう分野ごとに並べ替えをして見出しを付け足しています。オリジナルは文末のリンクにて。
すべての子供が16歳までにできるべきこと / オードリー・サザーランド
生活
- シンプルな食事を作ること
- 魚をさばき、鶏を下ごしらえすること
- 自分の家でも他所の家でもお皿を洗うこと
- 自分の洗濯ができること
- ミシンを踏み、自分の衣類を修理できること
- 宿題と家の手伝いは率先し、責任をもってやること
技術
- 高校2年生レベルでの読み書きができること
- 地図と地形図が読めること
- 道具を手入れし、使ったあとは必ず片付けること
- ペイントブラシを使ったあとはきれいにすること
- おむつとタイアを交換できること
- 電気コードを接合できるか、あるいは電灯を取り付けることができること
- 自動車修理の基本を知り、自分で簡単な修理ができること
- 必要に応じてコンピュータが操作できること
安全
- スキルと正気をもって運転すること
- (カヌー、カヤック、スキフ、セールボートなどの)ボートを安全かつ有能に操れること
- 400メートルを楽に泳げること
- 手近にある道具で溺れている人を助けること
- 見知らぬ土地で公共交通機関を使って移動すること
- 人気のある場所から最低10マイル離れた場所で、10日間一人でも幸せで快適でいること
- 救急処置の5つの基本を知ること:呼吸と心臓鼓動の回復、止血処理、毒物応急処置、骨折の固定、ショックの対処法
- 地元の麻薬シーンを把握していること
社会
- 大人が話すときは興味と共感を抱いて聞くこと
- 受胎について理解と責任をもち、必要であれば避妊すること
- 何歳の人とでもダンスすること
仕事
- ビジネスレターを書くこと
- 2か月間家計を管理すること
- やるべき仕事を見つけ、やること
- 自分にふさわしい5つのキャリアについての基本的な情報を知っておくこと
- その分野すべてで1か月ボランティアすること
- 給料を貰える仕事を見つけ、最低1か月つづけること
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僕は、子どもを連れて頻繁に野外に出て寝泊まりをしたり、シンプルな食べ物をできる限り自分たちで作ったり、あらゆることをDIYで行ったり、道具も家具も服もできるだけ新品を買わず中古品を修理して使ったり、カヌーの操作を学んだりしています。
それは父親として以前に自分個人としてやりたいやり方、自分がもっとも幸せを感じるスタイルですが、同時に、そのスキルを子どもにも身に着けて欲しいと思ってやっています。
今は娘が10歳を過ぎ、あらゆる「実技・実践」ができる段階に来ていることを、本当にエキサイティングに感じている時期です。
そんな私には、オードリー・サザーランドのリストはとても参考になるものでした。
スマホがあり、高度な教育が用意され、安全で便利な現代日本では「時代遅れ」なリストでしょうか。
私にはむしろ逆に思えてなりません。
シンプルに、ソロで、そのとき行動する
彼女の生涯を伝えようとする人たちの記事をこちらでで読むことができるので、ぜひ読んでみてください。