日本では消費税率が10%になりましたね。消費税率が8%になったのは2014年、たった5年前までは5%だったと聞いて驚きました。
僕がカナダに引っ越したのは2013年だったので消費税は5%という印象が強く残っていて、当時カナダに来た頃は「消費税12% !? ありえない!」と驚いたものです。
カナダの消費税は大きく2階層になっていて、カナダ全土一律の連邦消費税5%(GST)と州によって異なる州税(PST)を足したものになります。
ブリティッシュコロンビア州のPSTは7%なので、消費税は12%です。
とはいえ、Exemptions(免税、日本でいう軽減税率)の仕組みもかなり合理的に決まっています。その分類の細かさは今回の日本の軽減税率よりもずっと複雑です。
例えばGSTは以下のものにはかかりません。
- 牛乳・パン・野菜などの食料品
- 穀物・原毛などの農産物
- 処方薬や薬の調剤費
- 補聴器・人工歯などの医療用具
- 中古住宅
- 医療・歯科サービス
- チャイルドケア・教育サービス
PSTも、かかるもの、かからないものが州ごとにかなり細かく分類されています。
さらにGSTだけかかる、両方かかる、両方かからない、というパターンがあるのでかなり複雑です。
複雑は複雑ですが、どちらの税にもExemptionsには合理的なコンセプトがあり、それを理解すれば納得の行くものです。
ざっくりと言ってしまうと、
贅沢品、嗜好品、環境に良くないもの:かかる
生きるのに必要なもの、農産物、子ども関連、技能職サービス:かからない
という感じです。
(もし厳密な消費税に興味があれば文末のリンクをご参照ください。)
正直、消費というのは必要だから買うのであって、税率がどれだけ複雑に変化しようと「これは消費税がかかるのか、かからないのか」なんてことは実際の生活ではほとんど気にすることはないように思います。
消費税がいくらであれ、必要なものは買うしかないし、消費税がかからないからといって不必要なものを買うこともありません。
日本での軽減税率は非常にシンプルに思えますし、さらにその違いも2%だけなので、それだけのことで「買う買わない」「増税前の駆け込み消費」「本当に持ち帰るかどうかというモラル」、というレベルで人々が右往左往するのであれば、かなり残念なことだと思います。
消費は文化的に未成熟な行動
コンビニや外食店で、消費税が8%か10%かを気にしている自分がいたら、それはその消費について改めて考える良い機会かもしれません。
その消費は、これから将来の自分にとって幸せな消費なのか。単にその場の欲望だけではないのか。その消費による環境負荷はどのくらいなのか。
日本の軽減税率は外食かどうかだけなので単純ですが、カナダのような国での消費税を課す、課さないの分類からその意図を考えると、いろいろな気づきがあります。
例えば、もし「自家菜園の野菜、狩猟や魚釣りで食べ、困り毎はそれぞれの技能を持った近くの職人に頼み…」という暮らしをしていたら、消費税はほとんどゼロになります。
日本のような都市部集中型の超消費社会では、消費こそが「より良い生活の手段」になってしまっているように思います。とにかく便利さを最優先、時も場所も問わず同じ消費活動ができるコンビニ、使い続けるより廃棄して安い新品を買うスタイル、新築、新車、シーズンごとに買い換えるファストファッション。
しかし、より先進的な国際社会では、この価値観は文化的に未成熟な行為だと言わざるを得なくなっていると思います。
時の人となった Greta Thunberg さんのように考えれば、人間は今すぐこの文明を捨て原始的な生活に戻るべきかもしれません。
しかし「この文明社会を壊さず、便利さも維持しながら、どう生きていくべきか」を考えるとき、環境先進国の消費税ルールにはヒントが隠されているような気がします。
Government of Canada
GST/HST
https://www.canada.ca/en/revenue-agency/services/tax/businesses/topics/gst-hst-businesses.html
British Columbia Provincial Sales Tax (PST)
https://www2.gov.bc.ca/gov/content/taxes/sales-taxes/pst