日本から戻り数日。娘がクラスの友達の名前の書き方の見本を書いて欲しいと頼んできた。
旅行という訳でもないのでお土産のようなものは一切買っていないけれど、娘が特に仲の良い友達にあげたいという小さな和風の飾りものだけ買ってきたので、それに合わせて和紙でコラージュしたカードを制作したようだった。
見本を見ながら、Josefinaなどの数名の名前をなんとか書き上げた。
めざせバイリンガル?
海外に越したというと、「バイリンガル子育てですね」と言われることがある。
しかし僕らとしては英語習得はほとんどどうでもよいと思っている。もちろん将来的に出来るに越したことはないけれど、自分が海外に住みたいという理由のうち「子どもの英語習得ができる」は1%もない。もっと詳しく言うと、「よりよい子育て環境」は50%以上を占める大きな理由だけれど、英語習得はその中にほとんどないということだ。
当然、日本でも幼児向けの英会話教室など興味を持ったことすらないし、簡単な英単語を教えようとしたこともない。
それどころか、僕たちは母語である日本語すら出来るだけ教えないようにしていたのだから。
日本語の読み書きを教えなかった理由
5歳になるまで、日本語の読み書きを一切教えなかった。
普通に生活していれば自然に覚えていく範囲というのはもちろんあるけれど、親から能動的に「教える」ことをしなかった。
聞くこと、話すことは考えること、そして他者とコミュニケーションを取る上では欠かせない能力で、第1言語の母語として正確に習得することは何よりも大切なことだ。
赤ちゃんの時から声がけ、語りかけ、そして絵本の読み聞かせ、素話、はいつも心がけている。
特に絵本の量は膨大で、5年間で1000冊以上、繰り返し読まされるのは大人には大変なことだけど、回数にしたら5000回は読んでいると思う。(シュタイナー教育では絵本を使わない。たまたま僕たちは絵本を取り入れているけれど、絵を見せない素話は本当によいと思う。)
結果的に語彙は豊富になり、絵本の登場人物に見立てて様々な言い回しを楽しんでいる。時々見知らぬ大人と一丁前にやり取りするなど、ちょっと喋りすぎと感じるほどになった。
ではなぜ読み書きを「わざと」教えなかったか。
手段・知識に過ぎないこと
5歳頃までの子どもは、全てにおいて開放され、そして創造的な思考能力を持っている。それを尊重する中では、読み書きというのは、インプット、アウトプットの手段・知識に過ぎない。
ひらがなを識字するようになれば、絵本を読む際にも親の言葉と絵を見ながら想像をふくらませるよりも先に、文字を解読することに気持ちが行ってしまう。流れる景色を見る中でも常に看板の文字を追ってしまう。自由に絵を書くよりも、文字を書くことに気持ちが行ってしまう。
早く覚えることは悪いことではない。でも、0歳〜5歳というあまりに創造的な日々を過ごす中では、僕は優先順位は低いと考えている。全ての元となる精神と身体が驚くようなスピードで発達するこの日々に、単なる「将来生活するための知識」に時間を使うのはあまりに勿体無い。
5歳もすぎれば、子どもから自然と学習意欲が湧き出てくる。
「あれ、何て書いてあるの?」「あの子の名前はどうやって書くの?」
そしてあっという間に習得する。何も3歳や4歳から親が必死で文字を教えなくとも、必要になればすぐに覚えてしまうものだ。
日本は他人が気になる人が多いが、子育てとなると特に他所の子と比べがちだ。保育園や幼稚園では誰か1人が文字を書けたり読めたりしだすと、周囲の母親はとたんに焦り「うちの子も」と考えてしまう。そういうことは、不安の多い母親たちが集まる昼間の公園でも起こっている。
少なくとも5歳くらいまではそんなことを心配する必要は一切ないと思うし、その時期の子どもに一番大切なことは何かを落ち着いて考えて見つけていけばよいと思う。
そして日々溢れるその子なりの創造の種に、優しく水をやり続けていけたらと思う。
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