オーガニックな食生活の続編。
こちらでは家族経営規模のファームが多く、農産物をを卸売ではなく、消費者との直接契約で販売しているファームが沢山あります。
Community Supported Agriculture – 地域で支える農業 –
Community Supported Agriculture(CSA)と呼ばれるこの仕組みは、株主のような形で沢山の家庭とシーズン単位で契約し、毎週ファームまで出向いて採れた野菜を取りに行きます。
例えば半年間で300ドルの契約で100家族が集まれば、30,000ドル(ざっくり300万円)という大きな資金を得てそのシーズンの栽培計画を立てることができます。
こうして生産者と地域家族がコミュニティを形成し、健全な環境と地域経済を形作るのに役立ちます。
我が家が野菜を買っているファームの例では、少家族タイプ、半年間の契約でだいたい450ドル。1回で受け取る野菜は大体大きめの買い物袋1つくらい。
どんな野菜なのか、どのくらいの量かは最初にはっきりしている訳ではなく、その時期その農家で「穫れただけ」。
スーパーでオーガニック野菜を買う場合、オーガニックでない物を選ぶよりもかなり高くなります。野菜それぞれで違うけれど、肌感覚では大体1.5倍〜2倍くらい。ではファーマーズマーケットや農家直売だと安いかというとそういう訳でもありません。結果だけ見ていってしまえばむしろ高い場合が多いかもしれません。
でも、CSAは生産者と消費者が互いに顔の見える範囲で最大化し、持続性のある地域コミュニティを形成するという意味でとてもよい仕組みであり、毎週ファームに訪れ、ファームの夫婦や他の人達と挨拶をするだけのことでも価値のあることだと感じています。
CSAは日本でも成立するのか
CSAはカナダのような広大な土地では個人農家で所有する農地の規模が桁違いなので成り立ちやすいと思いますが、日本では難しい面もあると思います。
有機農産物を単に安全という基準でみるだけでなく、地域の自然環境や社会環境の改良に結びつくという考え方がベースにあり、さらに前金を出し、週一回といえども受け渡し場所にわざわざとりにいくというのは、大型スーパーがあまりに便利になっている日本では消費者側に相当な意識改革が必要なのではないかと思います。
もちろんCSAが理想といってそのまま無理にやろうとする必要もないと思います。最近は昔ながらの「農協」とは別に、より若い世代に訴求した地域の農産物直売所が盛んだったり、都会のまんなかでマルシェ風なことをしている所が増えてきたように感じます。
いただきますの意味を考える
ファッション、マーケティングベースで言葉だけが先走りがちな日本では、そのキーワードは一旦忘れて「何がしたかったのか」をいつも思い出す必要があると思います。オーガニックにしても、単に言葉だけを追い求めているとただ「オーガニックと表記された物を買えばいいだけ」なのですが、本質は土を感じ、生産者の労力を想い、地域経済を意識することだと思います。
日本では子どもに食事の前には「いただきます」と言いなさいと教えます。でも、ただ習慣だからなんとなく言うだけの「いただきます」と、その食材となった命、生産した人、調理した人をイメージして言う「いただきます」では全く違います。
僕たち親の世代がそれを知っているのは、30年前はそれが都市部であれ農業が今よりずっと身近だったからかもしれません。
綺麗なスーパーで、ピカピカに揃った野菜を買うのも良いかもしれません。しかし、子どもたちには出来るだけ土を感じる体験をして欲しいという思いで買う場所を選んでいこうと思います。